周りの人々や社会のために行動することは、多くの場合、正しい選択とされています。
しかし、その善意の裏には、自分自身や大切なものを見失う危険が潜んでいます。
周囲の期待に応えようとするあまり、うまくいかないことも少なくありません。
そこで今回は、以下の言葉について紹介したいと思います。
周りのため、みんなのための行動は正しいのかもしれない。
ただその考え方では、本当に守りたいものはいつの間にか手をすり抜けて消えてしまうだろう。
「みんなのために」の危うさ
「周りのため」「みんなのため」という考え方は、私たちにとって重要な価値観です。
他者を思いやり、社会の一員として協力し、チームや家庭の調和を保とうとする姿勢は、とても尊いものです。
しかし、この価値観が強調されすぎると、個人として本当に大切にしたいものが知らず知らずのうちに薄れていくことがあります。
例えば、仕事でチームの利益を最優先にするあまり、自分自身のキャリアの目標や家族との時間が犠牲になることもあります。
また、周囲の期待に応えようと過度に尽力することで、自分の望みが二の次になり、心が疲弊することもあるでしょう。
こうして「みんなのため」と動いているうちに、気づいたときには「自分のため」だったはずの目標や、大切にしたい人が自分の手の届かないところに行ってしまっているかもしれません。
「自分のため」と「みんなのため」のバランスを見失うこと
自己犠牲や他者への配慮は美徳ですが、そのために自分の望みや幸せを完全に犠牲にしてしまうと、やがて心に矛盾や疲れが生じます。
無理を重ねているうちに、自分が本当に何を求めていたのかが分からなくなり、かえって心のバランスを崩してしまうのです。
例えば、家族や職場の人たちが「こうであってほしい」と期待している姿に応えようとしているうちに、自分の本来の希望が見えなくなり、長い年月を経て「誰のために生きているのか」がわからなくなってしまうこともあります。
「自分のため」を見失ったまま「みんなのため」を続けると、いつしか心に余裕がなくなり、人を思いやる気持ちすらも薄れてしまうことがあります。
「本当に守りたいもの」を見失うリスク
「本当に守りたいもの」とは、個人にとって何よりも大切なもの、心の核となる価値観や目標です。
人によっては家族、友情、夢や目標、信念といったものかもしれませんが、これらは自分の幸せや生きがいに密接に結びついています。
しかし、周囲の期待や「みんなのため」という考えに振り回されていると、この「本当に守りたいもの」が徐々に自分の手からすり抜けていくのです。
たとえば、「家族のため」と言いながらも、過剰な仕事のせいで家族との時間が持てなくなり、やがて関係が冷え切ってしまうこともあるでしょう。
また、友人関係やチームにおいても、「周囲に迷惑をかけたくない」「みんなと仲良くいたい」という気持ちから、自分を抑えて付き合っていると、いつの間にか本当の自分を見せられなくなり、人間関係のストレスが大きくなってしまいます。
本当に守るべきものを見極めるために
「自分が本当に守りたいもの」を見失わないためには、次のようなポイントが重要です。
- 定期的に自分の価値観を見直す
日々の忙しさに流されると、気づかないうちに自分が大切にしていたものが後回しになりがちです。
自分にとって最も大切なものは何か、何を手放したくないのかを定期的に見直すことで、自分の行動が本当に価値あるものであるかどうかを確認する習慣をつけましょう。 - 自分のための時間を確保する
他者のために尽くすことが多い人ほど、自分のための時間を取ることが大切です。
週に数時間でも自分自身と向き合う時間を作り、趣味やリラックスする時間に費やすことで、心の余裕が生まれます。
この余裕があれば、他者のための行動もより充実したものになります。 - 限界を見極め、必要な時には断る勇気を持つ
周りのために行動することも大切ですが、それが過度になると自己犠牲になってしまいます。
無理をせず、自分の限界を見極め、必要な時には断る勇気を持つことも重要です。
断ることで相手を一時的に失望させるかもしれませんが、長い目で見れば自分を守り、最終的には他者への思いやりにもつながります。
自分を犠牲にしない他者貢献とは
では、他者のために行動しつつも、自分の本当の望みを守るためにはどうすればいいのでしょうか。
答えのひとつとして、「自分の望みを大切にしながら、他者と関わる」というアプローチが挙げられます。
他者に貢献しながらも、まずは自分の価値観や信念を根本に据え、そこから人と接することで、無理のない他者貢献が可能になります。
例えば、仕事の場面でも、自分がやりたいことや成し遂げたい目標を明確にしたうえで、その価値を職場の中でどのように発揮できるかを考えます。
そうすることで、自分のキャリアの軸がぶれることなく、チームの一員としても貢献できるようになります。
また、家族や友人との関係においても、自分の幸せを犠牲にせずに、助け合いや配慮を忘れないことが大切です。
結論：自分を犠牲にせず「みんなのため」を実現する
「みんなのため」と考えて行動することは確かに素晴らしいですが、自分が本当に守りたいものを見失ってしまっては本末転倒です。
自分の大切なものを守るために、定期的に自分の価値観や目標を見直し、自分のための時間を確保しながら、人と関わるバランスを取ることが必要です。
無理のない範囲で他者に貢献することは、最終的により良い関係を築き、互いを大切にしながらも充実した人生を歩むための道となるでしょう。
他者への貢献と自分の幸せが両立できる生き方を選ぶことで、私たちは他者とも自分とも心から向き合えるのです。
このバランスを保つことが、最も大切なものを守りながら「みんなのため」に生きるための秘訣といえるでしょう。