みなさん、最近色んな所で『SDGs』と叫ばれていますよね。
そもそも『SDGs』とは、どういう意味なのかわからないという人もいるかもしれません。
そんな今回は、斉藤康平さんが書いた『人新世の「資本論」』という本を紹介していきます。
新たな雑草を目指してLets Go!
『人新世の「資本論」』の要約
資本主義では、気候問題を解決することはできない
資本主義は、成長志向の経済体制であり、資源の消費や生産活動の増加が健全な経済を築くために重要視されます。
そのため、資本主義では環境への負荷や資源の減少を軽視することで、環境問題の悪化につながると作者は述べています。
資本主義がそのまま続けば、気候問題を解決する前に地球の持続可能性が危ぶまれると本書では指摘されています。
脱成長コミュニズムという解決方法
著者は気候問題の解決策として、脱成長コミュニズムを提唱しています。
脱成長コミュニズムは、「コモン」という概念から派生しており、社会的に共有され適切に管理されるべき資源や富に焦点を当てます。
水や電力、住居、医療、教育などの要素を公共財として捉え、市民が民主的かつ平等に参加し、自主的に管理することを目指します。
これに基づく考えが「脱成長コミュニズム」で、社会のペースを緩めつつ、地球に持続可能な社会を構築することで、気候問題を解決することができると、本書では述べられています。
気になった内容
「資本主義は、短期的な利潤のために、持続可能性を犠牲にする」
この言葉から、作者は資本主義に対して懐疑的な見方をしていることがわかります。
短期的な利益に目にくらみ、工場から出る汚水をそのまま海や川に垂れ流すことで環境破壊や健康被害が引き起こされたケースも存在します。
そのため、資本主義の短期的な利益追求の側面には問題点があると感じました。
資本主義にも悪い所は存在する
「『満たされない』という希少性という感覚こそが、資本主義の原動力である。だが、それでは人々は一向に幸せになれない」
「満たされない」「もっと」などの、終わらない欲望が世界を成長させてきたことがわかります。
しかし、資本主義は常に成長が求められ、失敗は許容されないという性質が人間を疲れさせている面も忘れてはいけません。
そのため、何事も完璧にすることは無理なので、ほどほどで抑えることも重要だと言えます。
資本主義は、私たちを不幸せに……?
「『3.5%』の人々が非暴力的な方法で、本気で立ち上げると、社会は大きく変わる」
この言葉は、政治学者エリカ・チェノウェスらが指摘した、一定の人々が立ち上がることで社会が変わることが可能であると示しています。
社会を変えるためには、少ない人数でも声を上げて立ち上がることが重要であると言えます。
3.5%の人民よ、立ち上がれ!
読んで得られたこと
「今までにない脱成長コミュニズムという考え方」
作者が提唱する革命的な「脱成長コミュニズム」というアイデアを知ることができたのは、この本を読んで良かった点だと感じます。
作者が提示する脱成長コミュニズムは、その実現可能性は分からないものの、「持続可能な社会」を実現するためには根本的な変革が必要という意見が示されています。
私たちが資本主義社会で生きている現状からすると、経済成長は良いことだと信じていることが多く、この考え方を受け入れることは容易ではありませんが、この本を通じて新たな視点で事象を考える機会を得られたことは、非常に価値あるものだと思います。
「今のままで良いのかという疑問」
この本を通じて、未来の世代が私たちの生き方をどう評価するかを考えると、少し考えさせられる一冊でした。
作者の革命的なアプローチには賛否はあると言えますが、より良い地球を築くためにも未来についてもう少し考えていくことが大切だと改めて思いました。
オススメ度
この本のおすすめ度は…星2つです。
★★☆☆☆
この本は思想が強く、賛否が分かれる可能性が高いです。
そのため、気軽に読書を楽しみたい方にはあまりおすすめできないと言えます。
結論
環境問題に興味を持つ人や社会変革の必要性を感じる人にとって、この本はぴったりだと思います。
私には、あまり心に響かなかったのでおすすめ度は低くなっています。
しかし、本を読むことは心のデトックスにもつながるので、もしこの本に興味を持った場合は、ぜひ読んでみる価値があると思います。
本は人を幸せにする