みなさん、『戦争』って嫌ですよね。
誰もが平和に暮らせるような世界になってほしいと切に願いますね。
そんな今回は、戦争における兵士の心理学の本として、デーヴ・グロスマンさんが書いた『戦争における「人殺し」の心理学』という本の内容と評価について紹介していきます。
新たな雑草を目指してLets Go!
注目した内容
「火線に並ぶ兵士100人のうち、平均して15〜20人しか『自分の武器』を使っていなかった」
この言葉は、第二次世界大戦時の米軍兵士の戦闘中の行動についての調査で分かったことです。
多くの人間は人に向かって武器を使うことに抵抗感があることがこの調査から分かります。
つまり、人間には人を殺したくないという『良心』が存在するため、多く兵士は銃を持っていても撃たなかったことがわかります。
戦わずに勝つのが一番良い
「近距離での人間同士の戦いは、抵抗感が大きい」
この言葉は、人間は戦いにおいて距離が近いほど、敵も自分と同じ人間であると意識してしまい、それによって、敵を倒すことに抵抗感が生まれることを示しています。
その抵抗感を無視して、敵を倒すと心に強いダメージを浴び、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつ病などの精神的な病気に陥る危険性が高くなります。
それに対して、敵との距離が遠いと、想像力が弱まり、現実感が薄れることで、相手を人間であるという意識が弱くなります。
それは、敵の人間性を否定できることで、倒すことの抵抗感が弱くなることを示しています。
本文では具体例として、水兵について取り上げられています。
水兵は、精神疾患が驚くほど少ないです。
その理由として、敵との距離が遠い上、直接手を下さないからだと述べられています。
敵との距離が、メンタルへの影響に差が出る
「義務」と「匿名性」が結びつき、敵を倒すことを可能にする
この言葉は、「義務」と「匿名性」があることで、敵を倒すことのハードルが低くできることを示しています。
ここでの「義務」とは、部隊に一緒にいる仲間を助けるためや失望させないために、敵を倒すという意味を持ちます。
簡単に言うと、空気を読むことです。
対して「匿名性」とは、部隊という群衆の中にいることで、敵を倒すことの責任の分散を生み出すという意味を持ちます。
簡単に言うと、赤信号みんなで渡れば怖くないということです。
本書では、「無意味な暴力は、個ではなく集団によって行われる」と述べられています。
つまり、1人では絶対にやらないことを集団ならやってしまうということです。
集団心理…
「兵士の第一の資質は、疲労や重労働に対する持久力である。勇気は二の次である。貧困と窮迫と欠乏が良い兵士をつくる」
これは、本文で紹介されたナポレオンの言葉です。
本書では兵士は戦場で、多くのストレスを受けることが述べられています。
兵士には、肉体的・精神的な強靭さが求められていることがわかります。
体力!それが戦場に必要とされる能力
「敵を非人間として扱うことで、敵を倒しやすくなる」
この言葉は、敵を自分達人間とは違う生き物だと考えることで、敵を倒す上で抵抗感をなくすことができると示しています。
つまり、敵を人間の形をした『動物』と考えることです。
具体的にこのようなことが行われて事例は、西洋諸国が植民地で行った残虐な行為があげられます。
植民地に住む人間を自分たちは違う存在と考えることで、支配を進めていった西洋諸国の悪行がこの言葉から思い出させられます。
『非人間化』は、人の見方を変える
「敵に背中を向けると殺される確率が高まる」
人間には、本能として追跡本能を持っています。
追跡本能とは、逃げる相手を追いかけて捕まえようとする本能です。
これは、よく熊に背中を向けるなと言われることと同じで、背中を見せて逃げると追って捕まえてやるという気持ちが強くなるため、殺される確率が高まります。
また、相手の顔が見えないことも殺される確率を高める要因だと言えます。
相手の顔が見えないことで、相手が人間である認識が薄れることで、相手を倒す抵抗感が少なくなるため、殺される確率が高まります。
背中は剣士の恥!
読んで得られたこと
戦場では、どのような心理になっているかについての知識
本書では、戦場で兵士がはどのような心理状態になっているかについて詳しく知ることができます。
特に、本書で紹介されている「非人間化」という考えは、とても納得感のある説明がされています。
オススメ度
この本のおすすめ度は…星4つです。
★★★★☆
この本は、分かりやすい具体例や納得感のある説明がされており、とても興味深い本になっています。
心理学について興味を持っている方にとてもおすすめできる本になっています。
私自身もこの本を読んで、参考になる知識が多くあったため、星4つの評価をつけさせていただきました。
結論
この本は、戦場における兵士の心理学について多角的に説明されていて、とても面白い本になっています。
もしこのブログを見て、この本に興味を持っていただけたら幸いです。
心理学は奥深い!